シェアハウス「グレイス・ハウス」代表 石原 和恵 さん

%e7%9f%b3%e5%8e%9f%e5%92%8c%e6%81%b5-1  一つの賃貸住宅を複数人で共有して暮らすシェアハウス。欧米では広く普及している居住形態だが、日本では最近、やっと注目を集め始めたばかりだ。このシェアハウスを「グレイス・ハウス」の名称で、愛知県名古屋市内で始めたのが、シンガポール、中国の上海など、海外生活を送った経験のある石原和恵さんだ。始めた動機は、海外生活での「涙が出るほどの孤独な体験だった」と語る。2030年には日本人の三分の一が一人暮らしになると予測される中、石原さんは「シェアハウスを通して、多くの人たちの〝孤独〟を癒したい」と願っている。

 石原さんは愛知県名古屋市で生まれ、千葉県で育った。ミッション系の短大を卒業後、東京の企業に数年勤めたが、20代後半の頃、子どもの頃からの夢だった海外生活をしてみたいと、ある人の紹介で、シンガポールで働くことになった。
だが、「そこでの生活は本当に大変でした」。言葉の問題や、新しい仕事をする中での葛藤の連続。だが、そんな悩み、苦しみを打ち明け、話せる相手もいない。「あまりの孤独で、自分はもう死んだと思っていなければ生きていけませんでした」。その当時の石原さんにとって、同じシェアハウスに住む仲間の存在はありがたかったと語る。
 そんな中、会社の上司が心の病に罹った。周囲に嫌われていたその上司を、「かわいそうだな」と思った石原さんは、「一緒にお昼を食べませんか」と誘った。だが、それをきっかけに、その上司は石原さんに依存するようになってしまった。

 「ずしりと思い荷物を負わされてしまった。でも、見捨てることはできない…」。そんな時、ミッションスクール時代に聞いたイエスさまの譬え話を思い出した。「この人は百匹のうちの迷い出た一匹の羊。どうにかしなければいけない。もしかしたら、教会に連れて行けば何とかなるのではないか」
 その頃、会社の同僚が自宅を開放し、聖書の学び会をしていた。石原さんとその上司はその学び会に誘われ、一緒に聖書を学び始めた。
 しかし、付き添いのつもりが、自分自身が聖書の言葉にとらえられたと言う。「自分もボロボロだったのです。神様が私を創ったんだよ、人生には計画があるんだよ、という話を聞いているうちに、涙が止まらなくなりました。そして、週一回の聖書の学び会で、上司も、私も、イエスさまが救い主であると信じる告白をしたのです」
 石原さんにとって、このシンガポール時代の思い出は「今でも人生の中でいちばん美しかった」と話す。「人々をお迎えし、食事を出してあげてもてなし、個人的にいろんな悩みを聞いてあげて、聖書の言葉を分かち合う。そうすることで、みんなが元気になっていく。今、シェアハウスをしている原点は、この頃にあるのです」
 一緒にご飯を食べて話すことは、石原さんのその後のライフスタイルそのものになった。シンガポールで転職し、東京で、中国の上海で仕事をしたが、東京や上海でも、みんなで一緒にご飯を食べることが、仕事にプラスになった。特に上海では、中国人と日本人が仲良く仕事ができるよう、「実務よりも中国人と一緒にご飯を食べました」。みんなはご飯を食べては盛り上がり、楽しい話に花を咲かせた。互いの人間関係も良くなっていた。

 「一緒に食事をすると仲良くなる。元気になって、仕事もできるようになる。孤独を癒してあげれば、人は回復する。そんなみんなの姿を見て、食事を作ってもてなすことに目覚めました」と石原さんは言う。
その後、石原さんは会社を辞め、故郷・名古屋の自宅をゲストハウスとして提供する形でシェアハウスを始め、2014年から「グレイス・ハウス」として本格的に運営するようになった。
 「グレイス・ハウス」には男性用と女性用があり、それぞれ週一回、住人が主体で食事を共にしている。居住者も大学生や単身者、キリスト教の宣教団体のスタッフなど様々だ。日本人だけでなく海外からの留学生も利用し、滞在期間もその目的により短期、中期、長期と幅広い。
シェアハウスは、石原さんが長年温めて来た居住空間でもある。そこには、まさに石原さんがシンガポールや上海、東京などで経験して来た、「みんなで一緒に食事をし、いろんな話をすることによって、孤独から解放され、元気になっていく」人たちの姿があった。
 「涙が出るほどの孤独な体験をしてきた」と語る石原さん。しかし、「苦しみの中で祈り、叫び続けて来たからこそ、神さまは私に、シェアハウスといういちばん良いものを与えてくだった」と感謝する。
 「思えば、独身で自分の家族と言えるものがなかった私に、神さまは上海の頃から今に至るまで、大きな家族を与えてくださいました。神さまは私の祈りを聞き、喜びを与えてくださる方なのです」
 「グレイス・ハウス」の問い合わせは、Tel052・265・5533、Eメールgrace@ki.gmobb.jp(石橋憲)まで。ホームページURLhttp://grace-house.com/ フェイスブックURL https://www.facebook.com/gracehouse.nagoya

【クリスチャン新聞「福音版」2015年7月号より】

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