ハワイからの手紙 やさしい風に吹かれて-23 サンライズ~ハワイと沖縄が出逢う空間

ハワイの日系移民の歴史の中で、大きな足跡を残したのが沖縄からの移民者でした。明治時代後半から約二万人の方々が沖縄からハワイに来られました。言葉や文化の異なるこの地で、自分たち独自の伝統文化を守り、それを子孫に継承しました。そのためハワイでは沖縄のソーキそば・ゴーヤチャンプル・サーターアンダギーなどの沖縄の食文化に触れることができます。

 

また、ハワイと沖縄には共通点があります。それは暖かい気候だけではありません。どちらも琉球国・ハワイ王国と呼ばれた独立した国家であったということです。後に列強国の侵略(占領)という辛い経験をした歴史を持っています。太平洋戦争の際、壊滅的な被害を受けた沖縄に救済の手を差し伸べたのは、海外に移民したウチナンチュ(『沖縄の人』を意味する方言)、特にハワイの方々でした。強い郷土愛からくる深い絆で助け合う心、それがウチナンチュ・スピリットなのです。

 

そんな二つの文化が麗しく一つとされている場所がホノルルにあります。沖縄の言葉「ハイサイ〜(こんにちは)」という声が鳴り響くお店、カパフル通りにある「サンライズ」という沖縄レストランです。そこは訪れるすべての人が暖かい心で迎えられ、ここは「我が家の食卓」だと感じることができる空間です。家庭的な沖縄料理がお店の売りですが、それに加えて、店主の玉寄朝勝さんと女将の朋子さんの人柄に惹かれてくる常連客で連日賑わっています。お食事だけでなく、すぐに「ドゥシ(『友だち』を意味する方言)」ができてしまう。とても不思議な空間なのです。

 

「兄弟愛をもって心から互いに愛し合いなさい…。旅人をもてなしなさい」(ローマ十二・一〇、一三) 

 

店主の朝勝さんはどんなことも笑いに変えてしまう才能の持ち主。三線を片手に「てぃんさぐぬ花」と「アメージンググレイス」を編曲した歌を賛美する姿はとても素敵です。また、女将の朋子さんは地元AMラジオ局KZOOのラジオパーソナリティー。気配りにたけていて、その人に嫌なこと・辛いことがあっても「ナンクルナイサな!(大丈夫なんとかなるよ!)」という気持ちにさせ、心を癒してくれます。サンライズに入ると、お腹が空いている人には家庭料理を、静かに飲みたい人には隅の席を、話を聞いてほしいと来た人には寿司カウンターにという具合に、彼女が細やかにもてなしてくれます。私は喪失経験で弱り果てていた時に、ここに駆け込み、一杯の沖縄そばで心も体も暖まり、深い慰めをいただきました。

 

そんなお二人が大事にしていること、それは「イチャリバ・チョーデー(出逢えばみな兄弟)」です。血筋によらない家族、ハワイ語の『オハナ』を作りたい。このお店で神さまが導いてくださる方々が仲間となり、深い絆でつながれ、そこから不思議な神さまの出来事が起こる。そんな祈りと願いの内に営まれています。サンライズ、ハワイと沖縄が出逢う空間、私の大好きな心のオアシスです。

 

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