ハワイからの手紙 やさしい風に吹かれて-21 走れ!ナンバー24
「ワオー、ナイス•プレイ!インターセプト・タッチダウン(★1)~ナンバー24、Goro Iijima!!」と大歓声と共に場内放送が鳴り響きました。高校生活最後の年、これまでの厳しい練習を経て辿りついた最高の瞬間でした。本人も応援にかけつけた私たち家族もおもわずガッツポーズ! 天国のパパにささげたプレイだったと、吾郎は試合後そう語っていました。
双子の弟・吾郎(ゴロウ)はお腹の中から、兄・寛(ヒロ)とは全く異なった動きをしていました。グアム島の病院で生まれた時、「Twin Baby B(弟)は、いつも泣いてばかりいる」と看護師に言われていました。また、幼稚園の頃、彼らの誕生会を企画した際、寛はクラス全員のお友達を招きたいと私にねだり、吾郎はその真逆に仲のいい友達だけを呼びたいと言う。兄に比べると、少しシャイで繊細な子供でした。
思春期の始め、彼らは肥満化した体を健全なものにするためにアメリカン・フットボールを始めました。その厳しい鍛錬を通して大きな自信を得ていきました。何度か骨を折るような怪我を負いながらも、情熱をそこに注ぎました。最初のチームはなかなか勝てない弱小チームで、全く勝ちに恵まれませんでした。心が折れそうになりましたが、それでもくじけることなく続けていました。
高校生最後となる今年、吾郎は自分の意思で転校を決意し、新しいチームに入ってプレイしました。何とそのチームで守備のキャプテンを務め、見事四一年ぶりに、ハワイ州ハイスクール選手権の決勝トーナメントに出場となる快挙を成し遂げました。泣きべそBくんの成長に只々驚き、神さまに感謝をささげました。
心を尽くして主に拠り頼め。自分の悟りにたよるな。 あなたの行く所どこにおいても、主を認めよ。そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにされる。(箴言三章五~六節)
残念ながらトーナメント準決勝敗退をもって、吾郎のフットボール・ライフは幕を閉じました。青春を十分に謳歌し、さて次はどうしようかと真剣に前を見ながら悩み始めています。そんな息子へのメッセージです。
「あなたは探究心が強く、執念を持ってやりとげる力があるので、私はそれを活かして誠実に生きてほしいと願っています。そして、とても美的感覚に優れているので、どのような道を選ぶのか、ママは本当に楽しみです。…
これからも嬉しいことばかりでなく、困難なこともたくさんあると思うけど、すぐに感情のままに怒ったり、陰で一人思い悩んで傷ついたりしないでね。神さまは深い目的をもって、吾郎にさまざまなことを経験させようとしているよ。そう信じてほしいと思っています。そしていつも感謝する気持ちを忘れないでください。(ママにも言えることだけど…笑)感謝の心こそがみんなを幸せにする道だから。これからが人生のセカンド・クォーター、しっかり走り続けるんだよ。我が家のナンバー24・吾郎へ。 寛子より」