神とレスリングをした男・ヤコブ

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アブラハムの息子イサクの妻リベカにはなかなか子どもが生まれませんでしたが、ようやく身ごもった子どもは双子でした。そしてその双子については、兄が弟に仕えるようになるという神のお告げがありました。
こうして生まれてきたのが、兄エサウと弟のヤコブでした。やがて猟師となったエサウは父イサクのお気に入りとなり、家(天幕)にいることの多かったヤコブは母リベカのお気に入りになりました。
ある日、ヤコブがレンズ豆の煮物を作っているところに、空腹のエサウが帰って来ます。そしてヤコブにそれを食べさせてくれと懇願すると、ヤコブは代わりに長子の権利を譲れと持ちかけました。たとえ双子だろうと、長男に生まれた者は父の死後、他の兄弟の2倍のものを相続できるというのが旧約時代のイスラエルの慣習だったのです。
たった1杯の煮物の見返りに長子の権利を求めるヤコブの貪欲さとは裏腹に、エサウは与えられた特権に対してあまりにも無頓着でした。今、空腹が治まるならそれでいいとばかりに、その申し出を受け入れてしまうのです。
さらに、年老いたイサクがエサウに長男の祝福を与えようとすると、ヤコブはリベカに指示されるまま、視力の衰えた父をだましてエサウになりすまし、その祝福をも横取りしてしまいます。2度も出し抜かれたエサウは激怒して、父が死んだら弟を殺そうと決意します。
エサウの殺意に気づいたリベカは、自分の兄ラバンのもとにヤコブを逃がします。ヤコブはそこで、ラバンの次女ラケルを見初めました。ラバンは、自分のために7年働けばラケルを嫁にやると約束するのですが、いざ婚礼のときが訪れると、妻として与えられたのはラケルの姉レアでした。
驚いて抗議するヤコブにラバンは悪びれもせず、ラケルも与えるからもう7年、自分のために働くようにと告げます。兄をだまして逃れてきた地で、今度はだまされる側になったヤコブは、こうして2人の妻を持つことになったのです。
レアは次々に身ごもり、4人の男の子を産みましたが、ラケルには子どもができませんでした。姉に対抗心を燃やすラケルは、自分の女奴隷を夫に与え、子をもうけさせます。すると、レアも負けじと自分の女奴隷にも子を産ませ、姉妹による出産競争が繰り広げられることとなりました。そしてついにラケルもようやく身ごもり、2人の子を産みます。こうして4人の女性がヤコブに12人の息子を産み、この12人がイスラエル12部族の族長となったのです。
ラバンのもとで一生懸命働くヤコブは神に祝福され、多くの財産を築くことができました。しかし、いつしかそんなヤコブに向けられるラバンの目にねたみを感じるようになった頃、神はヤコブに故郷に帰るように命じます。
ヤコブにとって故郷に帰るうえでの大きな障害は、自分を憎んでいるはずの兄エサウでした。まず、使者を送り、自分の帰郷を知らせると、兄は400人の従者を連れて迎えに来るとのことでした。
ヤコブはそれを聞いて恐慌を来します。兄がどんなつもりでこちらに向かって来るのかがわかりません。万が一、攻撃をされることがあっても全滅しないようにと、自分の宿営を2つに分け、被害を軽くする備えをしつつ、エサウにたくさんの贈り物を送ります。
それでも落ち着かないヤコブは、夜になると妻子を連れてヤボク川を渡り、自分は少し離れた所に残っていました。するとある人が現れ、ヤコブと格闘を始めました。それは夜明けまで続き、ヤコブに勝てないのを見て取った相手は、ヤコブの足の関節を外しました。
それでもヤコブは相手を放さず「私を祝福してくださるまではあなたを去らせません」と言います。不思議なセリフのようですが、格闘するうちに、ヤコブは相手が神であることを悟っていたのです。神は「あなたの名は、イスラエルだ。あなたは神と戦い、人と戦って、勝ったからだ」と告げ、ヤコブにイスラエル(神と戦う者という意味)という新しい名を与えます。
その後エサウと和やかな再会を果たしたヤコブは、カナンに向かいました。

聖書ガイドMOOK リアル聖書入門 第二部 48-49頁より

 

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