ノアの箱舟・大洪水はなぜ起きた?

ヤコボ・バッサーノ「ノアの箱舟」

巨大な家のような船にノア一家と動物たちが乗り込むと大洪水が起き、地上のすべてが水にのまれ、箱舟の中にいたノアたちと生き物しか生き残らなかったという話は、絵本やスペクタクル映画などでもおなじみです。
荒唐無稽な話のように思えるかもしれませんが、神が与えた細かい指示どおりに造られたこの箱舟は、大きさ、比率ともに現代の大型タンカーによく似ており、最も安定する構造であることがわかっています。ではなぜノアは箱舟を造り、また大洪水はなぜ起きたのでしょうか。
聖書には、「主(神)は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった。それで主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。そして主は仰せられた。『わたしが創造した人を地の面から消し去ろう。人をはじめ、家畜やはうもの、空の鳥に至るまで。わたしは、これらを造ったことを残念に思うからだ。』」《創世記6・5〜7》と書かれています。
「主」とは天と地を創造した唯一の神のことです。大洪水は神の意志によるものでした。地上に人の悪が増大し、神が人を造ったことを悔やんだからです。
「神は人をご自身のかたちとして創造され」《創世記1・27》ましたが、創造された人、すなわちアダムは誘惑に負けて神との約束を破り、それを妻のせいにして言い逃れようとさえしました《創世記3章》。これが最初の人間が犯した罪です。アダムが犯した罪は家族やその子孫にまで及びました。アダムの息子カインは嫉妬心と憤りで実の弟アベルを殺害し、カインから数えて4世代目のレメクは自分の受けた傷の復讐として若者を殺害します《創世記4章》。
神は人をロボットのようには造らず、良いものを自分で選び取るよう、自由な意思を持つものとして造ったのに、人はその自由を悪いことにだけ用い、その結果、地上に暴虐があふれたのです。神はそれを見過ごさず、悪の根源である人を滅ぼすために大洪水を起こすことにしました。
しかしそこにノアという人物がいました。彼は神の心にかない、神と共に歩む正しい人でした。神はこのノアに心を留め、箱舟建造を命じたのです。
ノアは神の言われたとおりに箱舟を造り、自分の全家族、すべてのきよい動物と空の鳥の中から雌雄7つがいずつ、その他のすべての動物の中から1つがいずつを入れたので生き永らえることができ、人と動物は全滅を免れたのです。

聖書ガイドMOOK リアル聖書入門 第二部 76-77頁より

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