人の寿命はかつて数百年だった?

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創世記5章には、いちばん初めに造られた人アダムからノアまで10代の系図が記されていますが、そこに名を連ねる人々は驚くほど長寿です。
アダムが930歳、セツが912歳、エノシュが905歳と、現代では考えられないほどの長生きをしています。
けれども、10代目のノアの時代になると、「地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾く」《創世記6・5》ようになります。そのため、神はノアとその家族を除く人類を大洪水で滅ぼし、後の時代の人間の寿命については「人の齢は、百二十年にしよう」《創世記6・3》と言います。
とは言っても、ノアの次の世代からいきなりそうなったわけではなく、ノアの息子のセムは600歳、その息子アルパクシャデは438歳、とだんだん短くなっていき、ノアから10代目に当たるアブラハムの寿命は175歳でした。
モーセは「私たちの齢は七十年。健やかであっても八十年」《詩篇90・10》と言っていますから、その時代の平均寿命は現代のそれとほぼ同じといえそうです。ただしモーセ自身はその平均を超え、神が新たな限界と定めた120歳まで生きました。
そして現代の人の寿命についていえば、世界最高齢としてギネス世界記録に認定されていた日本人男性は112歳で亡くなりました(2016年現在)。
120年前後という数字については、科学的にもその年数が限界であることが解明されています。人は細胞分裂を繰り返しながら生きていくわけですが、その際、染色体の端っこに、遺伝情報が書き込まれず、細胞分裂のたびに1枚ずつ切り取られて(短くなって)いくテロメアという部分があります。
このテロメアは「命の回数券」と呼ばれており、人間の場合は約50枚与えられています。この回数券を使い切る年数を計算すると約120年が限界なのだそうです。つまり、これが人間のDNAの中に組み込まれた限界寿命と考えられています。
tero

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