ハワイからの手紙 やさしい風に吹かれて-4 変わらない神様の愛
太平洋の真ん中にぽっかりと浮かぶ美しいパラダイス、それがハワイ諸島です。それらは長い年月をかけて海底火山によって誕生したと言われています。そのハワイ諸島の主要6島、カウアイ島、オアフ島、マウイ島、モロカイ島、ラナイ島、ハワイ島は、それぞれ異なった魅力をもち、みな美しい海に囲まれた自然豊かな島々です。
実はハワイの魅力は海だけではありません。どこも緑豊かで美しい山々に恵まれています。ハワイ島のマウナケア、マウナロア、フアラライ、マウイ島のハレアカラ、カウアイ島ワイアレア。そして、多くの方々に親しまれている、オアフ島ホノルルのシンポル、ダイアモンドヘッド。それぞれ独自の姿をもち、その地の情景を形づくっています。
そして、更にこのオアフ島には2つの山脈があります。西側にワイアナエ山脈、そして島の中心から東側にコオラウ山脈。このコオラウ山脈は、トレードウィンド(貿易風)が吹いて来る風上側に位置し、楯状火山が断片的に残ったものです。最高峰はプウ・コナフアヌイ山。コオラウとはもともとハワイ語で「風上」を意味します。
このコオラウ山脈は私のお気に入りの場所で、そこまでよく車でドライブします。ホノルル市からハイウェイを使って東方向へ約30分。トンネルを抜けると目の前にこの山脈の絶景が見えてきます。山肌が切り立っているその姿は、無駄のない研ぎすまされたような表情をしています。一瞬言葉を失うほどの感動を覚える景色です。
私はここに来ると、大いなる神様の存在を体で感じます。雲も流れ、時も流れ、人や建物も変わる。やがて地形も変わってしまい「万物は流転する」と言われていても、私たちの信じる神様は決して変わることなく存在している。神様の「変わらない愛」があるということを確信できる時に、不思議と私の情緒は安定するのです。
想い起すと、1994年長女・小夏をマウイ島で出産した当時、私はどのように子供を育てたら良いのかと迷い、たくさんの育児書を読みました。そして、自分にぴったりとくるものだけを取り入れて、無我夢中で子育てしました。けれども、育児だけに限りませんが、良いと思ってやっていたことが、後にあれは間違っていたと立証されることがあります。変わってしまうことがあることに気がつき、いったい何を信じたら良いのだろうかと悩んだのです。その迷いがきっかけで、私は「変わらないもの」すなわち「永遠」を探し求め始めました。
「『たとい山々が移り、丘が動いても、わたしの変わらぬ愛はあなたから移らず、わたしの平和の契約は動かない。』とあなたをあわれむ主は仰せられる。」(イザヤ54:10)
その時、私が見つけたのは「変わらない神様の愛」でした。揺るがない土台、決して変わらない存在があると聖書は語ります。そのことを見いだした時、何とも言い尽くせない「心の平安」が与えられたのです。そして今、この美しいコオラウ山脈を眺める度に、体の内側から同じ平安が湧きおこってきます。永遠に変わることのない神様の愛こそが私の命を支えている。山々の背後から静かに神様の声が聞こえてくるようです。
飯島寛子(いいじま・ひろこ)
世界の第一線で活躍したプロ・ウィンドサーファー飯島夏樹さんと結婚。4 人の子ど もを授かったが、夫は肝臓ガンのため2005 年に召天。 夏樹さんが病床で書き遺した『天国で君に逢えたら』(新潮社)など3 冊の著 書は大きな反響を呼び、映画化された。寛子さんも、自身と家族の“それから” を『Life パパは心の中にいる』(同)に綴っている。現在ハワイで、愛する人 を亡くした方をサポートする自助グループのNPO 法人HUG Hawaii や、 ハワイ散骨クルーズBlue Heaven, Inc. の働きに携わる一方、エッセイスト、 ラジオのDJ として活躍。 担当番組「Wiki Wiki Hawaii」が、毎週日曜日の 朝5時からインターFM で放送されている。マキキ聖城キリスト教会会員。