ハワイからの手紙 やさしい風に吹かれて-30 わが家のグランマ

私たちの家族がグアムに定住していた頃から長期滞在をして家族を支えてくれたのが、私の実の母である福田名水子(なみこ)です。通称「ナミさん」、わが家の「グランマ」はとてもパワフルでユニークな女性です。

 母は結婚以前から同居生活をして祖母を支え、父と離別してからも朝に夕に仕事をしながら姉と私を含めた四人の生活を守ってくれました。そして私の結婚後は、祖母が亡くなるとすぐにグアムに飛んできて、飯島ファミリーを陰で支えてくれたのです。

現在グランマは一年の半分は東京の姉夫婦と、残りの半分はハワイの私たちと共に過ごすという二カ国同居生活をしています。そのグランマは凄く快活でパワフル!ハワイではまるで飯島ファミリーの家政婦のように働いてくれています。お部屋の掃除から子供たちの洗濯まで一挙に引き受け、毎朝毎晩というぐらいに電気器具を動かしています。その働きぶりは、この十年の間に掃除機を五回、洗濯機と乾燥機を二回も買い替えてしまうほどものです。お見事です!

さらにグランマは断捨離の達人!五人で生活していると知らず知らずのうちに物が増えてしまい、小さな家のクローゼットがいっぱいになってしまいます。それを覗いては、「活かされていない物が増えると良いものも悪いものに隠れてしまって見えなくなって、結局は悪くなってしまうのよ。あまり考えないで見ないで使っていない物はさっさと捨てなさい」と言います。あまり私がぐずぐずしているとその翌日には捨てられてしまうのです。唖然としつつ、でもなぜかホッとする自分がいるのです。確かにそのおかげで逆に物を大切にするようになりました。必要以上にため込まないことが良い循環を生み、きちんと整理しようと思うようになるのです。

「あなたには、まだ一つだけ欠けたものがあります。あなたの持ち物を全部売り払い、貧しい人々に分けてやりなさい。そうすれば、あなたは天に宝を積むことになります。そのうえで、わたしについて来なさい。」(ルカ十八・二二)

これは、何をしたら永遠のいのちを得ることができるかとの問いに答えたイエスさまのお言葉です。聖書にはこれを聞いたお金持ちはたいへん悲しんで立ち去ったとあります。私たちは物や富を蓄えることが人に安全を保証し、幸せに導くものと思い込まされています。けれども、いのちは物や富の中にないことを、私は多くの方々の人生の終わりを見てきて教えられています。

グランマを見ていると、本当に必要なものはかばんの中に入る程度のごくわずかなものに過ぎないと思うようになりました。彼女の持ち物は少ないけれども、必要なものはちゃんとそろっています。そして母は物を粗末にするのではなく、大切にしているからこそシンプルに生きるのだと、私たちに実践して見せています。「必要以上に物に縛られない」、「本当に大切なものはそう多くはない」、「もっと天に宝を積みましょう」と。聖書を信じる母はそれを生活の中で私と子供たちに教えてくれています。

 

 

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