ハワイからの手紙 やさしい風に吹かれて-34 自転車への憧れ

世界のあちらこちらで、エコ目的のために自転車通学・通勤が推進されています。その自転車の普及率世界一はオランダです。「環境にも優しく、健康にも良い」ということを彼らは実証しています。最近ではホノルルでも一部で自転車専用の道路が設置されるようになりました。これがどれだけ市民の関心を呼ぶことになるのか楽しみです。

その自転車競技の大イベントの一つに「ホノルル・センチュリー・ライド」という大会が毎年九月に開催されます。これは初心者からロードバイクのプロ選手まで参加して楽しめるものです。コースはカピオラニ公園からスタート。ダイアモンドヘッドを越え、ハワイカイやオアフ島北東部の美しい海岸沿いを走ります。ハワイ独特の海風に吹かれながら爽快にサイクリングすることができます。その走行距離は約二〇マイル(約三二キロメートル)から最長百マイル(約一六〇キロメートル)までの五つのコースがあります。個人の力に合わせて自由に選ぶことができるので、それが人気の理由の一つとなっています。

私はこのイベントに一度だけ三人の息子達と参加したことがあります。その時、自転車はマラソンと違って目標の場所まで、その長い距離を楽しみながら速く行けることに、私は感動を覚えました。その時はまだ立派なロードバイクを持っていませんでしたが、子供達とのんびり自然と戯れるようにして走りました。疲れた地点で立ちどまり少し休憩をとる。そうこうしながら忍耐強く自分の足でペダルを漕いで走り続け、ついに最後ゴールする。そのことになぜか深い達成感を子供達と一緒に味わいました。その後私はいつか自転車競技にチャレンジしてみたいという思いを密かに持つようになったのです。

「あなたは光を衣のように着、天を、幕のように広げておられます。水の中にご自分の高殿の梁を置き、雲をご自分の車とし、風の翼に乗って歩かれます。
 …」(詩篇一〇四・二〜三)

聖書は、神さまは雲と風を巧みに操り、それを乗りこなすお方であると語りました。この描写を心で思い巡らすと、それはまるで一台の自転車を自由自在に操るロードバイクのプロ選手のように私には思えました。彼らは高低差の激しい起伏も、坂道から入る急カーブも、強い逆風が吹いている所でも、時速五〇〜七〇キロのスピードを出し、吹き飛ばされないで走り抜けます。そのためには高い技術と能力がなければできません。まさにそれは神業なのです。

そんな自転車競技に憧れる私は、実はスピード恐怖症。車でさえも「ママの運転は遅くて、ダサいよ」と息子たちに言われてしまいます。乗り物の操縦は、神さまのようにスムースにはいかないようです。それでも自転車への憧れは消えていません。

 

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