ハワイからの手紙 やさしい風に吹かれて-1 オリジナルカレンダー
我が家のカレンダーは、世界でたったひとつのオリジナルカレンダー。大切な日が写真で記されています。家族の誕生日、主人の命日、子どもたちの成長、スポーツの活動などなど……その月のイベントが一目にわかります。
毎年、このカレンダーを、イエス・キリストがお生まれになったクリスマスに親友がプレゼントしてくれます。こんなに愛情のこもったプレゼントはないと、感動で胸がいっぱいになります。なぜなら、私と行動を共にして写真を撮り、これはカレンダーに使えるだろうかと常に考え、そしてその記録をとっておかないとできあがらない。その労苦を考えると感心してしまうのです。私は、友のためにどれだけの時間を割いているだろうか、と自分に問いかけます。 本当に最高の愛情を感じる一瞬です。友だちにも感謝していますが、その愛情は、人間からくる愛ではなくて、もっと大きなもの「神様の愛」に包まれるような優しさを感じるのです。時に、全能の天地万物を造られた神様はひとりひとりに、友だちを通して神様の愛を届けてくれます。
さて、このカレンダーの二月の背景はピンク。ハワイの日系人が多く住むワヒアワの緋寒桜をイメージする、とても温かいぬくもりを感じる色です。二〇一二年二月二十八日は主人が召されて七年の命日。七年前は、私三十七歳、長女• 小夏は十歳、双子の長男• 寛と次男• 吾郎は八歳、三男• 多蒔は三歳。親一人幼い子ども四人とここハワイで、いったいどうやって生きていけばいいのかと途方にくれ、本当に心細かった。心穏やかで大丈夫な日と、不安に押しつぶされそうになる日がありました。それはジェットコースターのようなもので、決して平坦な道ではありませんでした。しかし、今改めて振り返ってみると、神様が必要な助け手を傍に置いてくださっていたことを思います。 七年たった今、私は眠りから覚めたような、まるであの白雪姫のような感覚があります。やっと、やっと、区切りがつきました。神様と一緒に自分の足で立っていこうという新たな風が心に差し込み、人生次のステージに移ろうとしています。主人のメモリアルの日を前に、カレンダーを見つめて思いを巡らしています。
「私は、すでに得たのでもなく、すでに完全にされているのでもありません。ただ捕らえようとして、追求しているのです。そして、それを得るようにとキリスト• イエスが私を捕らえてくださったのです。兄弟たちよ。私は、自分はすでに捕らえたなどと考えてはいません。ただ、この一事に励んでいます。すなわち、うしろのものを忘れ、ひたむきに前のものに向かって進み、キリスト• イエスにおいて上に召してくださる神の栄冠を得るために、目標を目ざして一心に走っているのです。」(新約聖書・ピリピ人への手紙三章12〜13節)
聖書は神様からのラブレター。この言葉を私はいただきました。新しいスタートをきった今、新しいバトンを手に、神様と走り出そうと決心しました。時間と力を惜しみなく使って、悔いのない人生を送りたい。天国で永遠に生きるというその日まで。
飯島寛子(いいじま・ひろこ)
世界の第一線で活躍したプロ・ウィンドサーファー飯島夏樹さんと結婚。4 人の子ど もを授かったが、夫は肝臓ガンのため2005 年に召天。 夏樹さんが病床で書き遺した『天国で君に逢えたら』(新潮社)など3 冊の著 書は大きな反響を呼び、映画化された。寛子さんも、自身と家族の“それから” を『Life パパは心の中にいる』(同)に綴っている。現在ハワイで、愛する人 を亡くした方をサポートする自助グループのNPO 法人HUG Hawaii や、 ハワイ散骨クルーズBlue Heaven, Inc. の働きに携わる一方、エッセイスト、 ラジオのDJ として活躍。 担当番組「Wiki Wiki Hawaii」が、毎週日曜日の 朝5時からインターFM で放送されている。マキキ聖城キリスト教会会員。