《聖書バトルvol.2》無敵の巨人に必殺弾!!
左:ヴァランタン・ド・ブーローニュ作「ゴリアテの頭を持つダビデと2人の戦士」、右:オスマー・シンドラー作「ダビデとゴリアテ」
武装した身長約3メートルの大男に、少年は石投げと5つの石だけで挑んだ……。
神に選ばれた民イスラエルが、宿敵のペリシテ人と谷を隔ててにらみ合っていたときのことです。ペリシテ陣営からゴリヤテという名の大男が進み出て、自分と一騎打ちをする代表戦士を出せとイスラエル軍に迫りました。それで勝負をつけようというのです。
しかし、ゴリヤテは2メートル80センチを超す巨体の持ち主で、イスラエル軍の中にはこの挑戦を受けて立つ勇気のある者はいませんでした。ゴリヤテはそんなイスラエル軍をあざ笑い、毎日現れては自分の力を誇示していました。
ところがある日、イスラエルの羊飼いの少年ダビデが、軍にいる兄のもとに届け物をしにやってきて、ゴリヤテの挑発のことばを耳にすると激怒しました。
ダビデの怒りの理由は、「神を知らない異邦人が、生ける神の陣をそしるとは何事か」ということでした。神の民イスラエルを嘲笑することは、神を嘲笑するのと同じだと、この少年は考えたのです。彼は即座に「自分がゴリヤテと戦う」と申し出ました。
ダビデはイスラエルの王サウルが与えようとした武具も断り、自分のいつものスタイル、すなわち羊飼いが使う杖と、石投げだけを手にしてゴリヤテに向かっていきました。
ゴリヤテはダビデを見るとすっかりバカにして、ペリシテ人が信じる神々の名を使ってダビデをのろいました。ダビデはゴリヤテに向かって、「私は、おまえがそしったイスラエルの戦陣の神、万軍の主の御名によっておまえに立ち向かう。主はおまえを私の手に渡される。すべての国は、イスラエルに神がおられることを知る」と、バトルの意義を明確に宣言したうえで投石袋を使って石を放ち、ゴリヤテの眉間を打って倒し、とどめを刺しました。神を嘲笑した巨人を倒すのに、槍も剣も必要ないことを見せつけた一撃でした。
その後ペリシテ人たちは一斉に逃亡し、イスラエル軍はそのあとを追って大勝利を収めました。
《第一サムエル17章》