ハワイからの手紙 やさしい風に吹かれて-31 わが街の愛するアロハ豆腐
今や日本食は世界のスタンダードになりつつあります。「寿司」「天ぷら」それに次いで今や「ラーメン」もメイドインジャパンのシンボルとなっています。そしてこれまで根強く「好きな日本食(食材)の中のトップテン」に入り続けているもの、それが「豆腐」なのです。
昔から豆腐は健康食には欠かすことのできない食品。その活用は幅広く、スープ・前菜・メインデッシュなどに使われます。豆腐の原料は大豆。良質の植物性タンパク質で、特にその「大豆イソフラボン」は女性の体に優しく、保湿機能・更年期障害の改善・ガン予防に効果があると言われています。私も毎日コップ一杯の豆乳を飲むように心がけています。
数年前双子の息子たちがダイエットに取り組んでいた時よく豆腐が食卓にのぼりました。わが家が用いる豆腐は、ここハワイの日系社会の食卓を支えている「アロハ豆腐」です。鶴と亀がモチーフのアロハ豆腐の創業は一九五〇年、沖縄から移民した上原亀三郎と鶴子さんご夫妻が知り合いから豆腐工場を引き継いで始めました。創業一六年目には工場が火事で全焼するという試練を経験。その他多くの困難を乗り越えて、今日も存続し、ハワイの人々に愛されている老舗豆腐店となっています。
現在は三代目で日系三世のポール上原さんが社長となり会社を経営しています。彼も先代とは異なった試練を味わいましたが、二代目であった父の教訓を旨に働き続けてきました。その教訓は「Keep
your option‘s open(あなたの事業の可能性をオープンにしなさい)」でした。片方で品質と製造維持に心を使いながら、もう片方でこれまでの固定概念にとらわれず新しい商品開発にチャレンジしてきたのです。「ヘルシー豆腐ムースの開発」「バイリンガル豆腐レシピ本の出版」「会社のキャラクターグッズ製作」などを手がけ、また次の構想も描いておられます。
「あなたがたの信仰の試練は、火で精錬されつつなお朽ちて行く金よりも尊く、イエス・キリストの現れのときに称賛と光栄と栄誉になることがわかります。」(ペテロの手紙第一一・七)
聖書は、信仰者は試練を通してすばらしい栄誉にあずかることを教えています。それは豆腐の作り方に似ています。豆腐というのは、種の形をした大豆があらゆる行程を経て、さまざまな形をした豆腐製品へと変化していきます。洗浄・蒸し・煮炊き・冷却・にがり・凝固・冷却。それはまるで人間がさまざまな経験を経て、一人の成熟したものに変えられていくさまのようです。信仰者も人間も会社も同じような道のりを辿るのかもしれません。これからも 社名のようにハワイのアロハを形にして、みんなの食卓に愛が届きますように。