ハワイからの手紙 やさしい風に吹かれて-37 神は装ってくださる
ハワイ州は十九の島と環礁からなっています。その内の六つを主要六島と呼び、そこに約一三〇万人の人々が暮らしています。それら六島はそれぞれ特徴があり、ハワイの麗しさの奥深さを感じさせてくれます。
またそれら六島には島の色と、島のシンボルとされている花や植物があります。政治と経済の中心であるオアフ島、その色は「黄色」で島花は「イリマ」。ウィンドサーファーのメッカであるマウイ島、その色は「ピンク」で島花は「ロケラニ」。素朴で美しい地と言われるモロカイ島の色は「グリーン」で島花は「ククイ」です。
さらに、日常の喧噪を忘れられるラナイ島の色は「オレンジ」で島花「カウナオア」。壮大な自然をもつハワイ島の色は「赤」で島花は「オヒアレフア」。そして、私がここ数年とても関心を向けているのがカウアイ島、その色は「紫」で、島の植物は「モキハナ」です。どれも愛らしい花々です。
私は、ガーデンアイランドと呼ばれるカウアイ島を訪れることを楽しみにしています。ここは年間降水量も多く、緑豊かな自然が残っている島です。そして、ハリウッド映画のロケ地としても知られていますが、この島がハリケーンの被災地であることを覚えている人は少なくなっています。
一九九ニ年九月にハリケーン•イニキがハワイ諸島を襲いました。特にカウアイ島の被害は大きく、多くの家屋が破壊されました。ここには野生の鶏が多くいるのですが、実はその時に壊れた小屋から鶏が逃げて、野生化して増え広がったと言われています。
その頃、私はちょうどマウイ島で生活していました。ハレアカラ山の中腹にあるマカワオという街に住んでいましたが、ちょうどそこは山影に位置していて、強風を直接受けることがなく、大きな被害にあわずにすみました。大きな台風を経験するのは初めてであったので、とても怖い思いをしました。そんなカウアイ島を初めて訪れたのは、その被災からニ〇年後のことでした。かなり復興していましたが、未だに営業を停止しているホテルなどもあります。その跡地を見た時、一種の寂しさを感じました。
「…栄華を窮めたソロモンでさえ、このような花の一つほどにも着飾ってはいませんでした。しかし、きょうは野にあって、あすは炉に投げ込まれる草をさえ、神はこのように装ってくださるのです。ましてあなたがたには、どんなによくしてくださることでしょう。」(ルカによる福音書一二章ニ七〜ニ八節)
けれども、現在のカウアイ島は再生の力に満ちています。島を覆う自然の美しい姿は回復し、そこから力強さを感じることができます。島の花であるモキハナは、オレンジ科の木の実で、ここでしか生息されていないと言われる香りの良い希少な実です。神聖なるマイレのレイと一緒に使われるもので、とても控えめでシンプルで清楚なものです。それは同時に「はかなさ」をも感じさせてくれます。創造主なる神はたとえはかない存在でも美しく装ってくださる、破壊されてもかならず復興させてくださるお方であると、この島の姿から教えられています。