世界は七日で造られた!?

ミケランジェロ「アダムの創造」

聖書の冒頭には、神が6日間で世界と動植物と人間を創造した様子が描かれています。
まず、大水の上に闇が広がっている状態だったところに、神が「光があれ」と言うと光がさし、光と闇の区別ができました。これが第1日目です。
2日目は空が造られ、水は空の上と下とに分かれました。
3日目には陸と海が区別され、地には植物と樹木が造られました。
4日目は太陽と月が造られ、昼と夜とができました。
こうして自然環境がすべて整ったところで5日目には水中の生物と鳥が創造されました。
そして6日目には野に住む動物が造られ、その後、神はこれらの生き物すべてを支配するものとして人間を、神のかたちに似せて造りました。
人間の創造については「神である主は土地のちりで人を形造り、その鼻にいのちの息を吹き込まれた。そこで人は生きものとなった」《創世記2・7節》と、他の動植物とは違う特別な経緯が記されています。
6日目に天地万物の創造が終わると、「神はお造りになったすべてのものを見られた。見よ。それは非常に良かった」《創世記1・31》とあります。
神は6日間にわたる自らの仕事に非常に満足し、7日目に天地創造のわざの完成を宣言したのです。そして、この日を祝福して聖なる日としました。
以上が聖書に記されている天地創造の7日間ですが、この箇所に関してよくとりざたされるのが、「神は本当に6日間で天地万物を造ったのか」という疑問です。
これに関してはクリスチャンの間にもさまざまな意見があります。創世記には、1日ごとの創造のわざが終わるたび、「夕があり、朝があった。第〇日」という記述が繰り返されますが、この「第〇日」の「日」を表すヘブル語のヨームという言葉は、1日24時間の1日という意味のほかに、ある一定期間、もしくは「時代」という意味で用いられることもある言葉です。
このことから、「24時間×6日間で144時間のうちに世界のすべては造られた。神にはそれが可能である」と考える人もいれば、「神にはそれが可能であったとしても、この場合の「1日』が必ずしも24時間である必要はない。地質学や宇宙学が提示するさまざまな学説を考慮すると、もっと長い年月だったのではないか」と考える人もいます。また、1日目と2日目の間には何万年もの時が経過していたのだと考える人たちもいます。
天地創造の1日の長さをどう考えるかによって、地球の推定年齢も大きく変わってきます。1日24時間説を取る考え方によれば地球の年齢は6000年から1万年ということになり、「新しい地球」説といわれています。
これに対して、現在、最もよく耳にする地球の推定年齢は46億年というもので、「新しい地球」とはかなりの開きがあります。これは放射性元素の崩壊速度というものを用いた測定法によって割り出された数字ですが、ここに至るまでには科学的な計算の手法にも数々の変遷があり、およそ10万年から1千万年という説もあれば、2億4千万年という説、2千万年以上4億年以下という説など、さまざまな説が出ました。
現在信じられている46億年という数字も、いくつかの仮定に基づいた暫定的な仮説にすぎず、今後新しい科学的な発見があれば大きく変わる可能性もあるのです。
というわけで、創世記に出てくる「1日」が実際はどれほどの長さであったか、また地球ができてからどれほどの年月がたったのか、本当のところはわからないとしかいいようがないのが事実です。
実際、創世記に記されている天地創造の物語は、神が人類を創造したことの意味や目的を伝えるために書かれた書物なので、どのようにして造られたかという科学的な事実をそこから読み取ろうとすることには無理があるという考え方もあります。
ここでは、創造の6日間の長さについては諸説があるということと、その長さがどれほどなのかということが創世記の主題ではないということを理解しておけば充分でしょう。
最後に、これも主題ではない補足ですが、創世記に記されている「6日働いて7日目に休む」というサイクルは、世界に普及しています。

聖書ガイドMOOK リアル聖書入門 第三部 74-75頁より

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